決してバレてはいけない居留守。掟を破った私の末路
ピンポーン、、。。、ピンポーン。。
「あれ、こんな時間に誰だろう」
夜の7時、玄関のチャイムが鳴りました。私は今夕飯を作っている最中です。
火を使っています。出るに出られません。
彼氏と同棲を始めて1週間。家具やら日用品は必要最低限買い集め、なんとか生活できるレベルです。
この日私は仕事が早く終わり、6時には家に帰って来れました。
汗をかいたのでお風呂に入って、サッパリしたところで夕飯の支度を始めていました。
そしてこのチャイム。
ドアホンに映るのは宅配のお兄さんでした。
あ~スッピンじゃ出られないなぁ。頭もタオル巻いてるし。タオルを取ればいける?
いやいや、ばっさばさだし。そうだ結けばなんとかなるぞ。
あ、エプロン脱がなきゃ。タンクトップに半ズボンだから裸にエプロンみたいになってるし。危ない人妻だと勘違いされてしまう。
エプロン脱ごう。あ、だめだ。タンクトップ透けとる。ピンクの2つのボタンが見えてしまう。
、、足も大根だった。
、、、火使ってるから出られないし、よし、ほっとこう。
ドアホン越しに手を合わせ会釈、そして「ごめんなさい」
ドアホンの画面が消えると、モニターをつけてお兄さんを確認。
するとまた
ピンポーン、、。
お、なかなかしぶとい配達員だ。さらに息をひそめます。
私はいません。いませんよ。
画面が消える。モニター付ける。お兄さんチャイムおす。
これが3回くらい繰り返され、ようやくお兄さんが画面から居なくなってくれました。
しばらくして、彼氏がそろそろ帰ってくる時間なのでモニターで確認してみました。
するとアパートの前のトラックから人が降りてこちらにかけてきます。
ピンポーン、、。
チャイムを鳴らすお兄さん。
私はいない。ということにしてください、、。
なんでこんなに粘られているのか分かりません。そもそも家に人が居ないと思っていないのか、、人が居ることがバレているのか。
いや、そんなハズはない。バレてない。、、あれ、バレてるのかな。
申し訳ないな。さっきから20分くらい待ってるなぁ。そろそろ出て…。
いやいや、今さら出ていけない。いや、でもこれ受け取らないとお兄さん帰れないじゃ、、。
モニターの前で行ったり来たりしていると、玄関で鍵が開く音がしました。
彼氏がかえってきたー。やったー。
と思ったらドアは開けずに誰かと話をしています。
モニターで確認すると荷物を受け取る彼氏の姿が。
よかったー彼氏が荷物受け取ってくれたわー。
とか思っているとモニター越しに目が合う私と彼氏。
彼氏ちょっと笑ってる。
私 「おかえり。荷物なんだった」
彼氏 「水道の浄化器。宅配の人走ってきたからビックリしたわぁ」
私 「あぁそうなんだ、、。(やっぱり申し訳なかったなぁ)」
彼氏 「モニターで見てたでしょ」
私 「!なんで知ってんの。お前はエスパーか」
彼氏 「夜にモニター見るとライトが付くから見てるのわかるんだよ」
やってしまった、、。宅配のお兄さんごめんなさい。
私 「居留守バレてたかな。でも定期的にライトがつくインターホンとかあるよね。そういうタイプのインターホンとか思ってくれてるかな」
彼氏 「ないと思う」
お恥ずかしい。
例えるならば、見ず知らずの人にパンツ丸出しの後姿を見せていたかのような恥ずかしさ。
そもそもバレていないと思っていた自信満々の自分が恥ずかしい。
恥ずかしすぎて泣ける。
そしてただただ申し訳ない。
私の茶番に付き合わせてしまった宅配のお兄さんの20分。返せるものなら返したい。
おしまい